余所者-よそもの-【 2 】



「………」

野間は何も言わずバイクを走らせた。

あっという間にいつもの定位置に到着し、野間の手を借りてバイクを降りる。


停車位置からRe:bidoまでは、徒歩一分もない。

だからいつも、この短い時間に交わす言葉は『またね』の挨拶になる。


「迎えはまた昼過ぎくらいっすかね。また後ほど」

私は扉の前で振り返った。


「ううん。お迎えはいらない」

「………」


「野間くん、ありがとう」


野間がこちらを向く気配がした。

だけどその視線を受け止めることはしなかった。


「やっぱ、カナコさん。ちょい待った──……」

伸ばされた野間の手をかわすように、Re:bidoの扉をくぐる。


いつもなら、すぐに野間の手によって外側から施錠された。

今日はすぐに鍵の音が鳴らなかったので、自分で内側から鍵をかけた。


ガコ、ガコ、と靴裏で木の床を叩きながら、奥の扉を目指す。

もう、迷いはなかった。


──ガチャ。

シドへ繋がる、重い扉を開けた。