余所者-よそもの-【 2 】



すると、ガサゴソとビニール袋の音が鳴った。

ちらっと目をやると、ユキが膨らんだ袋の中を漁っている。


取り出したのは、消毒液に絆創膏、白い脱脂綿。

次々とベッドサイドテーブルに並べられていく。

触るって……傷の手当てをしてくれるってこと?


準備を終えると、私の手首にユキの冷たい指先がそっと触れた。


「手、開いて」


ガラス片で傷ついた右手。

ベッドの上で手のひらを上に向けると、ユキが左手を差し入れ、下から支えた。


ユキの大きな手と、私の小さな手がピッタリと重なる。

私はその手をじいっと見ていた。


消毒液を浸した脱脂綿が、ゆっくりと近づいてくる。

けれど、傷の少し手前でピタリと止まった。

気になって、ユキの顔を見上げた。


「………」

ユキは私の右手を、瞬きもせずに見つめている。

どうしたんだろう?


「……痛い?」


「見た目ほど痛くないですよ」

そうは言っても、動き出さない。


ユキが視線を注ぐのは右手の……傷口だ。

痛くないのは強がりでも何でもなく、本当。


もしかしたら熱のおかげで、痛みに鈍感になってるのかもしれない。


「痛いね」

ぽつりと、ユキが零した。


手当てが始まる。

冷たい脱脂綿が、静かに傷口の上を滑った。


その瞬間、私の右手はピクン、と痙攣したように跳ねた。


……痛い。

ユキの声につられてしまったみたい。

思わず声が出そうになるほど、手のひらが痛んだ。