すると、ガサゴソとビニール袋の音が鳴った。
ちらっと目をやると、ユキが膨らんだ袋の中を漁っている。
取り出したのは、消毒液に絆創膏、白い脱脂綿。
次々とベッドサイドテーブルに並べられていく。
触るって……傷の手当てをしてくれるってこと?
準備を終えると、私の手首にユキの冷たい指先がそっと触れた。
「手、開いて」
ガラス片で傷ついた右手。
ベッドの上で手のひらを上に向けると、ユキが左手を差し入れ、下から支えた。
ユキの大きな手と、私の小さな手がピッタリと重なる。
私はその手をじいっと見ていた。
消毒液を浸した脱脂綿が、ゆっくりと近づいてくる。
けれど、傷の少し手前でピタリと止まった。
気になって、ユキの顔を見上げた。
「………」
ユキは私の右手を、瞬きもせずに見つめている。
どうしたんだろう?
「……痛い?」
「見た目ほど痛くないですよ」
そうは言っても、動き出さない。
ユキが視線を注ぐのは右手の……傷口だ。
痛くないのは強がりでも何でもなく、本当。
もしかしたら熱のおかげで、痛みに鈍感になってるのかもしれない。
「痛いね」
ぽつりと、ユキが零した。
手当てが始まる。
冷たい脱脂綿が、静かに傷口の上を滑った。
その瞬間、私の右手はピクン、と痙攣したように跳ねた。
……痛い。
ユキの声につられてしまったみたい。
思わず声が出そうになるほど、手のひらが痛んだ。


