余所者-よそもの-【 2 】



さ。
野暮用も済んだし、そろそろ帰るか。

その場に立ち上がると、俺のスラックスの裾をユキが掴んだ。


「なんだよ」

「好きって、他の女と何が違う?」


俺は「んー」と考えた。

ユキの場合、他人に興味がない分、極端だ。

言い寄ってくる女と適当に遊んだことはあっても、自分から求めているところを見たことがない。


他の女と比べるまでもなく、ぶっちぎりでカナコちゃん大好きだろうが。

……とは思うが、どう伝えるか。


「触ったときのテンションが違う」


まぁ、俺ら男の子だし。

気持ちが乗ってる女と、そうじゃない女だと全く違げーんだよなぁ。


「……ああ。たしかに」


ユキは自分の左手に目を落とし、呟いた。

……なんだ。
ユキにも思い当たるところがあったみたいだ。


何やら一人で納得したらしいユキを背に、帰り支度をする。


リビングの戸に手をかけたところで、俺は足を止めた。

一つ、ユキに言っておきたいことを思い出した。


「お前って、気に入ったヤツにあだ名つけるクセがあるよな」

「あだ名?」



「どうしてカナコちゃんのことを『かぁこ』って呼ぶのか、一度考えてみるといい」



これは、俺からユキへの宿題。

それだけを言い残して、ユキの家を出た。