俺はベッドに視線を戻した。
「すう」
カナコちゃんは小さく寝息を立て始めた。
俺はスマホを手に取り、フリックでメッセージを打ち込む。
”カナコちゃん怪我。動けないからお前んちで寝かせてる”
送信っと。
「………」
少し迷って、やっぱりもう一行だけ追加でメッセージを送ることにした。
”カナコちゃんはすぐに帰るってゴネてる。どうする”
スマホを閉じて、天井を仰ぐ。
俺も意地が悪いな。
ユキがどんな顔してすっ飛んでくるか、楽しみで仕方がねーんだから。
ごめんな、カナコちゃん。
カナコちゃんは今、ユキに会いたくない。
でも。
ユキは多分、カナコちゃんに会いたい。
俺は基本、女の子の味方だけど。
ユキとはちょっと付き合いが長い。
悪く思うなよ。
彼女の額に浮かぶ汗を拭ってやった。
めくれた布団を、そっと掛け直す。
ちらりとスマホで時間を確認した。
……はは。
思わず、笑みが零れる。
玄関先から響く、物音。
想像以上に早い到着。
俺は期待値をぐんと上げて、静かに椅子から立ち上がった。


