俺とユキは、屋上にいた。
ただぼうっと寒さに凍えながら、灰色の冬空を言葉なく眺めていた。
手の先も、足の先も、すっかりかじかんで。
俺は「寒いな」と白い息を吐いた。
「コタコは……」
ユキが、何かを確かめるように、その名前を口にした。
「……コタコは、最も効率的な生き方を選んだんだね」
俺はその言葉の意味がわからず、隣にいるユキに目をやった。
「俺、何のために生きているのか考えたことがある。毎日毎日、同じことの繰り返し。人より優れた存在になるために、そのために時間を消費する」
「………」
「この消費の先に待っているのは、死だ。どれだけ人の上に立とうが、優れようが、皆平等に、同じところに到達する」
「お前、何……言って……」
「だから、俺。コタコの選択は、とても合理的だと思う」
静かな声だった。
怒りも、悲しみも、そこにない。
ただ淀みなく。
まるで一つの正しい答案を出すように、平然としていた。
その行き過ぎた論理に、俺はぞっとした。
すぐ隣にいるユキが、はるか遠くに感じる。
コイツはいつか。
何のためらいもなく死を選んでしまうんじゃないか、そう思った。


