余所者-よそもの-【 2 】



大学入試を目前に控えた、年末。

12月25日──クリスマス。


放課後。

いつものように俺とユキは、コタコの家のポストにルーズリーフを投函した。


すると、庭の奥から一人の女性が、白い息を吐きながら駆け寄ってくるのが見えた。

腰にエプロンを巻いた、中年の女性。

最初は母親かと思ったけど、その身なりからしてなんとなく、この家のお手伝いさんのような気がした。


やがて、女性は息を切らしながら俺たちの前に立った。

何かを堪えるように目を伏せると、エプロンの大きなポケットにそっと手を差し入れる。


──取り出したのは、一通の黄色い封筒。

それを、ユキへ差し出した。


「毎日……コウタさんのために、ありがとうね」


その小さな感謝の言葉は、何度もインターホン越しに聞いた声。


「………」

ユキは、差し出された封筒に目を落とす。

手を伸ばし、静かに受け取った。


俺は再び女性に目を向ける。

「コウタくんに、会わせてもらえませんか?」

「それは……ごめんなさい」

「どうしてですか?」

「禁止されていますので」


それは、誰に。
どういうことだよ。

結局、女性はそれ以上何も答えてくれなかった。

ただ静かに頭を下げ、家の中へと戻っていった。