「おい、コタコ」
その辺にしとけ。
それ以上は言わせまいとした。
でも、それまで黙って横に立っていたユキが、先に口を開いた。
「なんでコタコは怒ってるの?」
「だって、君たちがっ」
「テストを受けたのはコタコ自身。点数を取れなかったのもコタコ自身。テストはコタコが出した一つの結果」
「………」
「それに、テストで点が取れたからって何になる?高得点だろうが、満点だろうが、得することなんて一つもないのに」
「なんだって……?」
純粋な疑問と、残酷な正論。
俺がユキに「やめろ」と言ったときには、もう遅かった。
コタコの顔が、青から赤に変わっていた。
それはいつもの照れた茹でダコではなく、怒りで頭のてっぺんまで血が上ったような赤だった。
「そうやって……君はずっと僕を見下してきた……」
コタコは、ブチギレた。
「入学式のときからそうだっ!君は主席で合格したのに、2位の僕に総代挨拶を押し付けた!!」
「………」
「僕は主席で合格しなければならなかったのに、それが出来ずに格好だけを取り繕われたっ!!惨めだった、ずっと惨めで、惨めなままだった!!だから僕は、僕は……」
一度、コタコの唇が彷徨った。
それでも、言葉は止まらなかった。
「僕はずっと、君が憎かったんだ……!!」
そう叫んだコタコは、瓶底メガネの奥から一筋の涙を流すと、俺たちの前から走り去った。


