「わかった。じゃあ今日は明確に勝敗のルールを決めよう」
「よか」
「いいか?3回、先に攻撃を入れたほうの勝ちだ」
そうして、すぐさま始まった本日の一戦。
「ガハハハハッ!!覚悟し──」
──パンッ、──トンッ、──タンッ。
「はい、お疲れ様」
終・了。
例のごとく大振りの熊。
ユキは軽くカウンターを連続三回決め、完全勝利。
コイツとの喧嘩の回数を重ねたことで、ユキはすでに熊の動きを読み切っているようだった。
「なんでじゃあっ……!なんでじゃあっ……!」
「飯は?食ってきたの?」
尋ねたユキに、熊は屋上のコンクリートに這いつくばったまま、首を横に振った。
「お前と喧嘩ぁやると、ゲロるけん……」
「今日は打ち込んでないから平気だろ。パンあるよ、食う?」
「食う!」
やわらかく微笑みながら、ジャムパンを差し出したユキ。
もはや餌付け。
すると、パンを受け取った熊の胸元に目を留めたユキが、唐突に呟いた。
「サンコン」
パンを大きな口でかじった熊はコロン、と首を傾げる。


