余所者-よそもの-【 2 】



「わかった。じゃあ今日は明確に勝敗のルールを決めよう」

「よか」

「いいか?3回、先に攻撃を入れたほうの勝ちだ」


そうして、すぐさま始まった本日の一戦。


「ガハハハハッ!!覚悟し──」

──パンッ、──トンッ、──タンッ。


「はい、お疲れ様」

終・了。


例のごとく大振りの熊。

ユキは軽くカウンターを連続三回決め、完全勝利。

コイツとの喧嘩の回数を重ねたことで、ユキはすでに熊の動きを読み切っているようだった。


「なんでじゃあっ……!なんでじゃあっ……!」

「飯は?食ってきたの?」

尋ねたユキに、熊は屋上のコンクリートに這いつくばったまま、首を横に振った。


「お前と喧嘩ぁやると、ゲロるけん……」

「今日は打ち込んでないから平気だろ。パンあるよ、食う?」

「食う!」


やわらかく微笑みながら、ジャムパンを差し出したユキ。
もはや餌付け。

すると、パンを受け取った熊の胸元に目を留めたユキが、唐突に呟いた。


「サンコン」


パンを大きな口でかじった熊はコロン、と首を傾げる。