「……友達は、下の名前で呼ぶの?」
「うん!下の名前で呼んだり、あとはあだ名をつけたりもするんだって」
「お前の下の名前はなに?」
「コウタだよ!」
瑞生は少し考えるように、澄み切った青い空を見上げた。
やがてその視線をもっさりメガネまで戻せば、茹でダコみたいなその顔を指さして、
「コタコ」
と呼んだ。
「……え?コタコ?それってもしかして、僕のあだ名?」
「うん」
『コタコ』と呼ばれたソイツは、正座をしたまま、ぴょんぴょんとその場で跳ねた。
コタコ……コタコ、な。
コイツはすぐにタコみたいに顔が赤くなる。
カツアゲ連中からも『タコ』って呼ばれてたし。
普通なら嫌がりそうなモンだけど、なんだ。
コタコ本人は、とっても嬉しそうだ。
きっと瑞生にとっても、友達という存在は初めてなんだろう。
……それにしても。
友達の定義なんて、何もそんな小難しく考えなくたっていいのに。
そう思ったけど。
初々しく『友達』と呼び合う可愛いコイツらに、もう何も言うまい。


