余所者-よそもの-【 2 】



「疲れた……」

もう終わった、と言わんばかりにコキコキと首を回した瑞生。


一瞬白目から戻った熊は、その場で勢いよくゲロを吐いた。

「ぅぅッ、ォォォエッ……!」

ボタボタボタボタ……!と、それはすげぇ量を地面に吐き散らかす。


一体、何が起きた?


多分、この場にいる全員が思ったことだった。

リーダーがやられたというのに、イタ校の奴らもただ茫然と立ち尽くしている。


「おま……なん、しよ……た?」

「嘔吐中枢を刺激した。的がデカいおかげで、当てやすかったよ」


瑞生の種明かし。

なるほどな、と理屈自体は理解できた。

でも、わかったところで誰がそんな芸当できるんだよ、と恐ろしく思う。


瑞生は執拗に熊の顎や頭の周りを攻撃していた。

平衡感覚をバカにさせ、眩暈と嘔吐を誘発したんだろう。


人体の仕組みを理解し、利用した。

嘘みたいに鮮やかで、巧みな戦い方。


「なんっそ……れ……」


熊はそんなこと到底理解できないまま。

べちゃっと自分の吐いたゲロの上に顔をつけて、そのまま気絶した。


このとき、コイツはきっと打ちのめされたんだろう。


身体は、完膚なきまでに。

心は……たぶん奪われた。


なんとも馬鹿げていて、おまけにゲロ臭い話だが。


これが、イタ校番長。

──サンコンと、俺たちの出会いだった。