声の方を振り向けば、黄色いビールケースから立ち上がる大男。
……イタチのリーダー格だ。
「………」
立ち上がった男の全貌を見て、よくわかる。
二メートル近くあるタッパ。
全身を分厚い筋肉で包んだ、屈強な肉体。
総じて、人間というより獣。
ソイツは巨大な熊のような男だった。
一声で全員を制止させた熊は、ドスンッ! と地面を踏み鳴らして進み出る。
「ワイがやる……おどれら、どっちが強いんじゃ」
地響きのような声で、俺か瑞生のどちらかとタイマンを張りたいと言ってきた。
──ジリ、と、砂利を踏みしめる音。
俺は信じられない気持ちで目を見開く。
瑞生が何の躊躇いもなく、前に出たからだ。
「……待て。無理だ、あんなの。やめとけ」
瑞生はゆっくりと振り返り、
「大丈夫。俺、アッチの方が得意」
……意味がわからないことを言った。


