「それで、これはどう対処するのが正解?」
「正解なんかねーよ。テストでもあるまいし」
「正解がない?」
「大雑把に言うと二択かな。俺らが出て行ってイタ校の連中にシバかれる。それか……シカトぶっこいて、あのもっさりメガネがイタ校にシバかれる」
「どちらの選択も無意味だ。得るものがない」
「そうだな。お前はどっちがいい?俺はお前が選んだほうに付き合うよ」
俺は頭の後ろで手を組んだ。
判断に、多少の時間がかかると思った。
ところが俺の予想に反して、瑞生は迷いのない足取りで正面玄関へと歩きだした。
「行くんだな?」
覚悟を問うように尋ねたが、瑞生は足を止めずに答えた。
「アイツが一人で殴られたところでどうにもならなそうだけど、潤ちゃんがいるなら、なんとかなるかもしれない」
「買い被りすぎな……」
「それに」
言葉の途切れた瑞生の顔を覗き込めば、とても難しそうな顔をしている。
「考えても考えても、やっぱりアイツが殴られるのは嫌だ。どうしてだろう」
「そりゃお前……」
お前にとって、あのもっさりメガネが”友達”だからだろうがよ。
そう呟いた声は、俺と瑞生が揃って踏みしめた砂利の音と。
煩いバイクのエンジン音にかき消されて、誰の耳にも届かなかった。


