「………」
俺は「んー」と教室の蛍光灯を仰ぐ。
……はぁ。
怠惰な足取りで教室を出て、階段を下った。
一階の踊り場に出たときだった。
「あ」
ばったりと鉢合わせたのは、瑞生。
俺と同じくらいダルそうに、向かいの階段から下りてきた。
……コイツがダルそうなのは元々か。
「どうする?」
俺は目が合ってすぐに尋ねた。
すると瑞生は口の端を少しだけ上げて、綺麗に微笑んだ。
「潤ちゃんはすごいね。昨日言ってた通り、本当に大勢で来た」
いや、感心してる場合かよ。
そう心の中でツッコんだ。
でも、俺もなんかおかしくなったのかもしれない。
いきなり名前で呼ばれた。
しかも、笑いかけてきやがった。
「………」
勘弁しろよ。
うっかり芽生えちまうじゃねーか。


