余所者-よそもの-【 2 】



「知らねぇ?有名だぜ、隣町の飯田千(イイタチ)高校。名前さえ書けりゃ通るってレベルの男子校」

「しらない」


「あいつらが『イタチ』って呼ばれてるのに対して、俺らは『カモ』って呼ばれてる」

「なぜ?」

「進学校はボッチャン率が高いからな。まぁ実際、カモられてんのはコイツだけじゃねーよ。クラスに何人かいるんじゃね?イタチにカモられてるヤツ」


俺がそこまで話すと、もっさりメガネはすっかり泣き止んでいた。

その表情はもう、憑き物が落ちたように晴れ晴れとしている。


「でもでもっ瑞生くんと潤くんのおかげで助かったよ!うんっ、これで助かった!もう安心だー!」

ワハハハ!と能天気に笑いだすコイツ。

俺は現実ってモンを教えてやろうと思う。


「終わらねぇよ。こういうのは終わりがねぇ。あいつら暇なんだ。ボコられたのが悔しくて、次は勝てる人数で来るぞ」

「そん……な……」

途端、もっさりメガネの顔は絶望一色になった。


さて。
これからどうすっかな。

手ぇ出したモンは引っ込みつかないし。

なるようにしかならねーよなぁ……。


ふと、隣から視線を感じた。

見れば、瑞生が俺のことを瞬きもせずに見つめていた。


その瞳は、出会って初めて。

俺を正面から映した気がする。


「………」


まるで、何か面白いものを見つけた子供みたいに。

瑞生の瞳の奥が、微かに光ったように見えた。