──そんなある日の放課後。
俺は女の子でも引っかけようと、歓楽街を一人歩いていた。
「さっさと出せよ」
通りかかった路地から、誰かを脅すような男の声がふと耳に入る。
なんとなく気になって覗いてみれば。
「………」
そこには、あのもっさりメガネ。
不良四人に壁際に追い込まれている。
カバンを胸に抱え、小さい身体をもっと小さくさせてぷるぷると怯えていた。
「もう、ないよ……」
「アア!?てめ、ナメてんのか!?おお!?」
「ひっ!ごめんなさいっ」
おいおいおいおい。
がっつりカツアゲの現場じゃねーか。
なんつーとこに出くわしてんだ、俺。
「で、ででででも……おととい、渡したばかりだしっ」
「”タコ”よぉ。冗談だよなぁ?」
しかも今回が初めてじゃないようだ。
『タコ』なんてあだ名で呼ばれて、可哀想に。
「飯代、交通費、参考書代……。タコんちは家が金持ちなんだから、いくらでも言いようあるくねぇ?」
「今月だけでいくら渡したと……。言い訳ももう底をついたよ」
「ふぅん?じゃあ、しゃーねぇなぁ?」
あーあ。
殴られるやつだ。
悪いな、もっさりメガネ。
俺は女の子のピンチは救えても、男のピンチには興味がねーんだわ。
嫌なとこ見る前に、さっさと帰ろ……。


