余所者-よそもの-【 2 】



「──……さ、さささあ!!」


やっとのことで階段を下りてきたソイツは、息を切らせながら瑞生に詰め寄り、

「答えてもら……ブッ!」

なんと。
最後の一段を踏み外して、瑞生の胸にダイブした。

俺の前に居た女の子が、小さく「きゃああ」と黄色い悲鳴を上げる。


「あ……あああ、す、すすまない」


もっさりメガネは瑞生の胸板に手をつき、体勢を整えた。

ズレた瓶底メガネのポジションを正す。


瑞生は、もう目と鼻の先。
あれだけ息巻いて、ようやく目の前に立ったくせ。

「………」

何かに当てられたみたいに、呆然として動かない。


おいおい。
芽生えてんじゃねーだろうな。

男だぞ、ソレ。


すると瑞生は彫刻のように整った顔を一切崩さないまま、やっぱり気だるそうに口を開いた。


「何か、俺に」

「……あ」

「用があったんじゃないのか?」


目の前のチビを見下ろしながら、瑞生はゆっくりと喋った。


周囲のざわめきが止んだ。

あちこちから、小さな感嘆の声が漏れる。

誰もが声を殺し、瑞生の言葉に聞き耳を立てていた。