「な、なななにかっ小賢しい手を使っているんだろう!?」
瑞生は足を止め、このもっさりメガネを見上げた。
相手は敵意むき出し。
それでも瑞生は表情を変えない。
「あっああらかじめ問題を知っているとかっ!それとも、もしやカンニングじゃないだろうな!?」
「………」
「くっ!このぉぉ……そこで、待っていろ!」
啖呵を切り、走りだしたもっさりメガネ。
テクテクと走るたびにずり落ちるメガネを、クイクイと直す。
右へ左へ揺れる、なんともダサイ走り方。
そんでもって、死ぬほど足が遅い。
「………」
瑞生はといえば、降り注ぐ日差しに目を細めていた。
もっさりメガネをじっと待っているようにも見える。
……そんな、まさかな。
──『瑞生くんに話かけたけど、無視された』
──『瑞生くんは誰とも話さない』
相手にするわけがないわな。
玄関ホールに集まった生徒はもちろん、周囲にいたヤツまで二人に注目していた。
授業にも出ず、校内のどこにいるかもわからない。
まるで幽霊のような生徒。
それが今、おかしなヤツに突っかかられている。
どんな反応をするだろうか。
誰もが固唾を飲んでいた。


