女の子の心理を読み取ること。
その上で、女の子を喜ばせること。
これは俺にとって、数学のどんな方程式を解くよりも複雑で、楽しい。
だって奥が深い。
女の子の言葉と心にとことん寄り添って、甘やかす。
たまに少しだけ、期待を裏切ってやる。
「卵焼き、ちょっとしょっぱい気がする」
「あ、ごめん。失敗しちゃったかな……。次は美味しく作るね!」
イロコイには塩味も大事。
これが『次』に繋がる。
「来週三者面談だぁ。まだ受ける学部悩んでるんだよね」
「あー。確かにそんなのあったな」
「潤くんはもう志望校決まってる?」
「いや?俺そもそも進学しない」
「嘘だー」
「ホントだって。卒業したらホストになるんだ」
俺が真顔で言えば、「絶対嘘!」と返して、カラカラ笑う。
この進学校で進学しないヤツなんてほとんどいないから、冗談だと思われてるんだろうな。
それがまさかの本気なんだけどね。
親に話せば、きっと泣く。
それでもやりたいんだから、仕方がない。


