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──カーン……、コーン……。
退屈な午前の終わりを知らせるチャイムが鳴った。
昼休みのチャイムなんてお構いなし。
みな競い合うようにノートにかじりつき、カリカリとペンを走らせる。
ギラついた教室、ギラついた日差し。
季節は、夏だ。
青臭い夢や希望が入り込む隙間もない、合格への執念と焦燥に満ちた、高二の夏。
ここは県内でも指折りの超進学校。
大学へ行くことなんて、もはや大前提。
皆、敷かれたレールをいかに効率的に走り抜けるかしか考えてない。
「………」
俺はそんな暑苦しい集団から逃れるように、教室を出た。
廊下では、すれ違う誰にも色味がなかった。
定められた髪型、定められた制服、定められた規則通りの生活。
まるで、個性を殺された軍隊。
そんな窮屈な校舎を、俺は風を切って歩く。
チャラけた茶髪。
耳にいくつものピアス。
制服の下には、真っ赤なTシャツ。
この学校じゃ、およそ悪目立ちをする格好。
野郎の大半は、俺とすれ違えば道を譲ったし。
女の子の半分は、遠巻きに熱い眼差しを向けてくる。
残り半分は、きっと隠れファン。
割合は俺調べ。
「あ、潤くん!今からお昼?」
ほら。
俺は呼び止めてきた女の子に「そうだよ」とニッコリと笑って返した。
「一緒に食べない?」
「ごめん、先約があるんだ。また今度」
そう言って、女の子に軽く手を振って別れる。


