余所者-よそもの-【 2 】



──────……
────……

──カーン……、コーン……。

退屈な午前の終わりを知らせるチャイムが鳴った。


昼休みのチャイムなんてお構いなし。

みな競い合うようにノートにかじりつき、カリカリとペンを走らせる。


ギラついた教室、ギラついた日差し。
季節は、夏だ。

青臭い夢や希望が入り込む隙間もない、合格への執念と焦燥に満ちた、高二の夏。

ここは県内でも指折りの超進学校。
大学へ行くことなんて、もはや大前提。

皆、敷かれたレールをいかに効率的に走り抜けるかしか考えてない。


「………」

俺はそんな暑苦しい集団から逃れるように、教室を出た。

廊下では、すれ違う誰にも色味がなかった。

定められた髪型、定められた制服、定められた規則通りの生活。
まるで、個性を殺された軍隊。


そんな窮屈な校舎を、俺は風を切って歩く。


チャラけた茶髪。
耳にいくつものピアス。
制服の下には、真っ赤なTシャツ。

この学校じゃ、およそ悪目立ちをする格好。


野郎の大半は、俺とすれ違えば道を譲ったし。

女の子の半分は、遠巻きに熱い眼差しを向けてくる。
残り半分は、きっと隠れファン。

割合は俺調べ。


「あ、潤くん!今からお昼?」

ほら。

俺は呼び止めてきた女の子に「そうだよ」とニッコリと笑って返した。


「一緒に食べない?」

「ごめん、先約があるんだ。また今度」

そう言って、女の子に軽く手を振って別れる。