「なんでユキに会いたくねーの?」
「それは……」
「ユキと、なんかあった?」
脚を組み、頬杖をついた潤が小首を傾げる。
『アイツ、紫藤とデキてんだぞ』
バンから聞いてもなお、変わらない潤の態度。
この穏やかな表情と優しい声に、胸に積もり積もった感情がぶわっと溢れそうになる。
──『ここから出て行ってください』
「……ユキさんに迷惑をかけてしまったんです」
「迷惑って?」
「それは……」
なんて、言おう。
何から話そう。
「ユキ、またカナコちゃんに怒った?」
「いえ……」
怒られたほうが、いくらかマシだった。
「AnBarを出て行けって、言われました」
潤はびっくりしたように目を丸めて固まった。
「だから合わせる顔がないんです。ユキさんだって、私に会いたくない」
「………」
「ちゃんと謝ろうと思います。でも、どうしても今は……潤さん?」
思わず口が止まった。
だって、潤の表情がおかしい。
「………」
とっても嬉しそうに。
楽しそうに、笑ってる……?
面白い話なんてしてないよね。
深刻な話として打ち明けたよね。
……私の話、聞いてた?


