余所者-よそもの-【 2 】



目的地に到着し、タクシーのドアが開く。

先に降りた潤は、当然のように私を抱き上げた。


「いいです」「大丈夫です」「歩けます」
何度断っても華麗にスルー。

きっとこれも潤の性分なのかもしれない。


潤と二人、マンションのエレベーターに乗り込む。

表示される階数が上がるたびに、だんだん落ち着かなくなってくる。


ユキはこの時間、きっといない。
だけど、万が一にでも顔を合わせたら。


伝えたいことを伝える。
たしかにそう決めた。

だけど、今じゃない。

熱に浮かされて回らないこの頭じゃ、伝えたいことも伝わらない。


「潤さん、あの、やっぱり」

「ここまで来て帰るとかねーから」

「でも」


「さっきから何を気にしてんの?」

「だって……家主が居ないのに、勝手に上がり込むのはどうかと思うし」

「カナコちゃん家政婦してんじゃん」

「今日は家政婦の日じゃないから……」


「もしかして、ユキと会いたくない?」


図星だ。
多分、それが顔に出てしまった。


「理由が気になるところだな。けど、今回のこともユキに黙っとくつもりか?」

「言うつもりはないです」

「なんで?」

「だって、私の問題だし」

「カナコちゃんの問題っていうか。これは店の問題で、店の問題はユキの問題でもあると思うけど」


そうこう話している内。

エレベーターは最上階に着いてしまった。