夜の路地。
暗い夜空を背に、黄色い街灯の光が降り注ぐ。
スポットライトのように照らされた、潤の端正な顔。
私は腕の中からぼうっと見上げていた。
何がなんだか、わからない。
だけど、ひとまず。
「……潤さん、ごめんなさい」
「カナコちゃんが何を謝ることがあるんだ?」
「この状況の全部……」
「どーしてそうも、まるっと自分のせいにしちゃうかな」
「だって」
「一つ言っておいてやる。どんな理由があっても、男が女の子を殴っていい理由なんかこの世に一つもない」
「………」
「カナコちゃんは怒っていいし、悲しんだっていい」
……潤は、優しいな。
「鼻血、止まった?」
「はい。ハンカチ……すみません」
「いーよ、そんなの」
もう使い物にならない高級なハンカチ。
今度新しいものを買って、返そう。


