余所者-よそもの-【 2 】



「サンコン」

「なんです」

「さっきからえらくスカしたツラしてんな?」

「………」


「お前、カナコちゃんがああなってるの、知ってたよな?」

「………」

「知ってて、シカトぶっこいたよな?」


聞きたくない。
そう思った。

サンコンは、私への態度は何も変わらなかった。

けれどずっと。
バンが私にどんなことをしても、注意はしなかった。

その意味は、尋ねなくてもわかってる。


「私には、店を守る責任があります」


「このこと、ユキは知ってんのか?」

「このこと、とは?」


「今の店の状態だ。すっ呆けんな」

「……ユキにとって、必要な情報は伝えてあります」

「これが、ユキにとって不必要なことだっつーのかよ」

「私はそう判断しました」


サンコンのその言葉に、バンは威勢を取り戻したように声を張り上げる。


「ユキだってコイツを持て余してんだ!だから俺たちが代わりに行動してんだよ!」


そう。
ユキもきっと、私がいない方がいいと思ってる。


「何も知らねぇのはお前だけだぞ、潤!何も知らねぇクセにしゃしゃり出てく──」



「何もわかってねーのは、お前らの方だ」



潤は冷ややかな目をして、天井を仰いだ。


深く溜息を吐いてから、正面を向く。

スーツジャケットの裾をぴん、と引いて整えた。

背筋を伸ばし、歩きだす。


「………」

床にへたり込んだ私を横抱きにすると、すくと立ち上がった。


「バンはともかく……サンコン。お前は付き合い長いんだから、いい加減わかれよ」

「何をですか。私には、わかりません……」


サンコンは、黙って顔を伏せた。

潤は構わず、出口に向かって真っ直ぐに歩く。


「とりあえず、ユキに絶交されたくなきゃ、この上。カナコちゃんの部屋」

「………」

「綺麗に掃除しとくことだな。俺からの助言はそんだけ」


そう言い残した潤は、私を抱いたまま。

しんと静まり返ったAnBarを、後にした。