余所者-よそもの-【 2 】



「………」

やがて二階から戻ってきた潤の顔つきは、明らかに苛立っていた。


「しつこくてごめんな。やっぱり何があったか教えてくんね?」

「……ちょっと、いろいろあって」


「そっか。人間、性分ってモンがあるもんな」

「………」


「それはお互い様っつーことにしよう」


首を傾げると、潤の手がそっと私の瞼を撫で下ろした。


「すぐに休めるとこ連れてってやっから」

「……潤さん?」


「少しの間、目ぇ瞑って寝てろ」


潤はそれだけを言い残し、勢いよく更衣室を飛び出して、だけどそっと扉を閉めた。


「………」

扉を閉ざしても、目を塞いでも。

フロアの声は、筒抜けだった。


「──女の子を傷つけること。俺が一番許せねーことだ」


静かで淀みない声。

潤が、怒ってる。


「カナコちゃんのアレ、誰がやった?」

「しらね」


「じゃあ聞き方変えるわ。お前だな?バン」

「悪い?」

「………」

「だってアイツ──……」


バンの声が途切れた、その瞬間。


鈍い音が、更衣室まで響く。

潤がバンを殴ったんだって、すぐにわかった。