「おっつっかれちゃーん!」
眠りに入りかけたころだった。
元気な声がフロアから漏れ聞こえてきた。
潤が遊びに来たらしい。
ガッ、とカウンターチェアの足を引く音がした。
「あれ?カナコちゃんは買い出し?」
「や……休みだ」
バンはどもりながら言った。
「そーなんだ。週末なのに珍しいな?」
「体調悪いんだって」
「そなの?じゃあ、2階で寝てんのか」
再び、ガッとチェアの足が鳴く。
「じゅ、潤!カナコは部屋にはいないぞ!」
「は?体調悪いのにどこに行くっつーんだよ」
「とにかく部屋にはいねぇ!」
「なんだよ、キモイな。放せよ」
「入るなって!そこに!!」
「あ?もういい、退けって」
徐々に近づく、足音。
──ガチャ、とドアが開いた。
みっともない姿。
けれど、隠れる元気も、動く気力もなかった。
ロッカーの前に座り込んだままの私。
大きな黒目を限界まで見開いた潤。
ぽたん、とまた鼻から血が垂れた。
「……は?」


