余所者-よそもの-【 2 】



ティッシュか、何か拭くもの……。

辺りを見回した。


……だめだ。
数歩先にあるものにさえ、手が届かない。

もういいや。


腕で、鼻の下を拭った。

腕に残った赤い筋を、ぼんやりと眺める。


……なんて情けない。


「ここは……終わりの街。……終わりには、何もない……か」


私も、空っぽだ。


『終わりが在るから、始まりが在る』


ふと、露天街の公園で見た朝日を思い出した。

冷えきった身体を、じんわりと温めてくれた光。


『堕ちるだけ堕ちることができればナンボかええやろ。そこでしか見えん景色があるでな』

『せいぜい、受け入れることやな』


そっか。
私、何を怖がってたんだろう。

もう、みんなに嫌われちゃってるのに。


失うものなんて、ほとんどない。

今更、何を守ろうっていうの。


どれだけ邪魔だって疎まれたって。
どれだけ酷い言葉を言われたって。

もういいじゃない。


受け入れる。

それで……伝えよう。


ユキに、サンコンに、バンに、みんなに。


楽しかったから。

AnBarが好きだったから。


今まで、ありがとうって。


それから、迷惑をかけてごめんなさいって。

ちゃんと謝るの。


許してもらえなくたって、いいや。

何も伝えられずにAnBarを去るのは、嫌だ。


元気になったら、ちゃんとする。

今はちょっとだけ、休もう……。