一人、取り残された更衣室。
幸い、ガラス片が刺さったのは手だけ。
これ以上傷を作らないように、そっと起き上がった。
「ッう……」
手のひらに突き刺さった、ガラス片。
皮膚にめり込んだ異物を見て、ぞわぞわとした。
ひとつ、指先でつまんで肌から引き抜くと、真っ赤な血がぷっくりと顔を出した。
タンブラーグラスでよかった。
破片が分厚かったおかげか、傷はそれほど深くなさそう。
目につく破片を取り除くと、今度は強烈な倦怠感に襲われた。
手の甲を額に当てる。
どうやら、熱があるみたい。
昨日からどうも熱っぽかった。
吐き気はするし、頭は痛いし、目は霞むし。
『表に出てくんな』そう言ったバンの言葉通り、今日は休ませてもらおう。
私はガラス片の散らばっていない場所まで、少しだけ身体を引きずった。
ロッカーを背もたれにして、床にへたり込むように座る。
ぽたん、と血が零れた。
鼻からだ。
たぶん、さっきバンの手が当たったから。
垂れた血が、はだけた胸元を伝っていく。


