余所者-よそもの-【 2 】



「やめてっ」

両手を突っ張った。

──ぶちんっ。

その拍子に、胸元のボタンが勢いよく弾け飛ぶ。


「……な!」

声を上げたバン。

その視線を辿れば、開いたシャツに胸元が大きくはだけてしまっていた。


バンはあからさまに目を泳がせた。

パニックになったみたいに、空いた方の腕を振り回し、突っ張る私の両手を跳ねのけようとする。


「はっ、放せ!てめぇ……!」

「そっちが放してよっ」

「うるせぇ!」


もみ合いと混乱の末。

ワケのわからなくなったバンの手が、ガッ!と私の鼻柱に当たった。


「……っ」

その痛みに顔を押さえる。

その瞬間、バンが胸倉から手を放した。


支えを失った身体が、ぐらっと前に傾く。


咄嗟に突いた手のひら。

──鋭い、痛みが走った。


「……あ」

目を開ければ、視界一面に散ったガラス片。

手の痛みの理由なんて、見なくたってわかる。

……やってしまった。


倒れたまま動くことができない、私の頭上。

はあ、はあ、と粗い息をするバンは、立ち尽くしていた。


「……て、てめぇが放さねぇから、悪りーんだ……」

そう言って、ロッカーから自分の着替えを取り出し、

「ウゼーから。今日は表出てくんな……」

捨てセリフを吐いてから、更衣室を後にした。