余所者-よそもの-【 2 】



「………」

手元のスマホに目を落とす。

電話帳から『紫藤 怜』を選択する。


発信ボタンをタップ。

……する、だけ。
なのに……。


──『おう!お前やっぱ気ぃ利くよな!今日発売のジャンプ、もう買ってくれてたのか!』

──『よく見てますね。カナコさん』

──『カーナコちゃん!どうしたの?』

──『お前って、本当に……どうしようもないヤツだね』


みんなの顔が、頭に浮かぶ。

私に向けられた声が、耳の内側に響く。


「………」

スマホを閉じた。


空を見上げた。

雲が絶えず流れていた。


私の中の煩わしいものも全部、持って行ってくれないかな。

そんなくだらないことを願いながら、深まっていく空の色を眺め続けた。

どれだけ私が頑なに立ち止まっても、時間は進む。


やがて、空が白み始めた。

昇ってきた朝日が、冷えた身体をじんわりと温める。


……帰ろう。

気がつけば、私の足はAnBarへと向かっていた。