「八賀さん……わからない」
「せいぜい、受け入れることやな」
受け入れるって、何を?
そこで、見慣れた軒先に着いた。
八賀の家だ。
八賀が──ガララ、と年季の入った引き戸を開ける。
中から香ってきた懐かしい匂いに、やっぱりおじいちゃんの家を思い出した。
「人生、よぉ味わえっちゅうこっちゃ」
「……え」
そう言って私から荷物を受け取るなり、八賀は家の中へ引っ込んだ。
ぴしゃり、と引き戸が閉まる。
「………」
扉が閉まる寸前。
八賀はやっぱり、前歯を見せてわざとらしく笑っていた。
「わかんないってば……」
閉じた引き戸を見つめたまま、呟いた。
返事のない扉の前に、私の声だけが残った。


