「八賀さんの言う『この街』っていうのは、シトウのことですか?それとも、露天街のこと?」
ねぇ、八賀さん。
私は、どちらに馴染んでると思う?
──『できるだけ、早ぉ出た方がええな』
八賀は出会った日、街から出ることを勧めた。
──『瑞生のとこ、出ろ。仕事も全部辞めて、シトウに来い』
シドは、私をシトウに呼んでる。
──『ここから出て行ってください』
ユキは、私に出て行ってほしいらしい。
私は、どこに行けばいい?
「ここは、終わりの街。終わりには、何もない」
しわがれているのに不思議とよく響く、八賀の声。
だけど、その言葉の意味がわからない。
八賀は、真っ直ぐ前を見据えたまま歩いている。
私はその横顔をじっと見つめた。
「終わりが在るから、始まりが在る」
「……あの、よく意味が」
「シトウも露天街も変わらん」
「………」
「堕ちるだけ堕ちることができればナンボかええ。そこでしか見えん景色があるでな」
『堕ちる』
その言葉に、目を見開いた。
もしかしたら。
八賀には、お見通しなのかもしれない。
私が今、行き場を失っていることも。
何の答えも出せずに、悩んでいることも。


