「止めなくていいんですか?喧嘩」
「いちいち首突っ込んどったらキリないやろ」
「けど、露天街があんな風に街で喧嘩してるのなんて、珍しいですよね?」
「んなことない。小競り合いなら、ようある」
「そうなんですか?」
「露天街は目立たんだけじゃ。最近は特にZ地区の小僧共が煩かったしな」
露天街は目立たない、か。
こんな風にギャラリーができる喧嘩が、珍しいだけなのかな。
「街の人間は刺激が欲しいて集まっとるんやろ。シトウの紫藤も静かぁなったし」
言われてみれば、最近はシドが街で喧嘩をしたという話を聞かなくなった。
街も、少しは穏やかになったのかな。
「……八賀さん、ずっと聞きたかったんですけど」
「なんじゃ」
「初めて会ったとき、八賀さん私に『早くこの街を出て行った方がいい』って言ったの、覚えてますか?」
八賀は「ああ」と返事をした。
「おまんがこの街に馴染まんと思うたからな」
「それはどうして?」
「さぁ。なんでやったかなぁ」
八賀はちらりと私を見た。
深く垂れた瞼の奥から、鋭い眼差しが覗く。


