「遅くなってしまいすみません。皆さんもう、夕飯は食べられましたよね?」

「あ、それなんすけど………………」


少し言い淀むクラさんに、首をかしげる。一体どうしたのだろうか。


「組のやつらみんな、若と結城さんを待つって、誰もまだ食べてないんっす」

正直、驚いてしまったが、蓮見くんの慕われっぷりはものすごい。

けどそれはつまり、私が蓮見くんをこんな遅くまで付き合わせてしまったから皆さんが食べれなかったわけで……申し訳なさしかない。


「わ、私のせいで蓮見くんを付き合わせてしまって、ごめんなさい!」

「あ、いや……むしろどっちかというと皆……」

その時、ガタガタッという音がして、反射的にびくりと肩が上がる。

そして音のした方へ振り返ると、障子と強面の方たちが数人倒れていて、「テメエ、押すんじゃねよ!」「お前が押してきたんだろうが‼︎」と言い合いをしていた。

い、いったい何が…………。

まったく状況が掴めない私に比べ、隣の蓮見くんは全然動じていなくて、さすがだなと思ってしまった。


もしかしたら、蓮見くんはこの状況のワケがわかっているのかもしれない。



「若、すんません。ちょっと止めてきます」

そう言って去っていくクラさん。

みんなわかってるらしい中、私だけまだ、さっぱり状況がわかっていない。



「あ〜あ、結局騒ぎにしちゃって。どうしようもない奴らだね」


そんな声がして、横を見れば、タケさんが立っていた。

この人、いつの間に立っていたんだろうか。