しばらく見つめていた蓮見くんも「悪くない」と呟いて、玲子さんには「可愛くない!」と叱られていたけれど、似合ってないと思われていないみたいでホッとした。


「帰るぞ」

蓮見くんは、いまだに文句をいっている玲子さんを、完璧に無視して歩いていく。


「玲子さん、本当にありがとうございました!」

「いいのよ。また遊びに来てちょうだい」

その言葉にお辞儀を返して、私も蓮見くんのあとを追いかける。


でも、「飛鳥ちゃんっ」と呼ぶ声がしたので、足を止めて振り返った。


すると、玲子さんは近づいてきて、耳元でささやいた。



「あたしには、2人の事情はわからないけれど………ひとつだけ良いこと教えてあげるわ」


そういうと、より一層近づいて………。



「冬弥がここに女の子を連れてきたのは、あなたが初めてよ。」


玲子さんは、意味深に口角を上げて微笑んだ。