「でも、びっくりしたなー」
「……何がですか?」
「んー?さっきあたしの素性を言ったときよ。元白虎だったーってやつ」
それの何がびっくりしたのだろうか?
「あの子、飛鳥ちゃんのこと、信頼してるんだなぁって。人一倍警戒心が強い、虎みたいなもんだからさーあいつ」
…それは、わかるような気がする。
だから、思わず笑ってしまった。
「信頼、されているかどうかはわかりません。でも、彼が本当は優しい人だってことは、知ってます」
白虎のみんなに慕われているのが、なによりの証拠だ。
それにわたしも、その優しさに、何度も助けられている。
「そっか…」
そう呟いた玲子さんと鏡越しに目が合うと、彼女は少し安堵したような表情をしたと思えば、眉間に皺を寄せて何かを耐えるような、複雑な顔をする。
どうしたのだろうか?と思っていれば……。
「あの子は変わってしまったわ………タカのせいで」
それは、独り言のような、呟きだった。

