こわい!怖すぎる…!!!
やっぱり待たせすぎたんだろうか!?それで怒っているのだろうか!?
と、とにかく!
どうかあの殺傷能力が高そうな目線がこちらに来ませんように…。
それだけを、祈るばかり。
カタカタと震える手を合わせて必死にお祈りをした。
「王子っ!…実は、少し彼女に用があったのよ」
はっ、と幻から我に帰った先輩が弁解を始める。
「…へぇ、用ですか?」
「そうなの!彼女の行動があまりにも目に余るから注意をっ、」
「やめませんか、そういうの」
「…え?」
「見ていて、見苦しいので」
ひやり、とした。
自分に向けられた訳ではないのに…。
苦しくて、たまらない。
笑っているのに、目が笑っていない。
それは真顔よりも、ずっと怖くて…。
ーーーーーー覚えがあった。
初めて、彼の裏を知った時。
そう、あれは強い拒絶。
排除しようとする瞳だ。
途端、彼が"知らない人"のように見えて、とてつもなく不安になって……。
「…は、すみくん……」
堪らず、名前を呼んだ。
情けないことに、少し震えていたと思う。

