あたしは後ろを振り返ることもできない。


そのかわり、

亜美が顔をぽっと染めて

神崎くんがとても不機嫌になった。



見なくても分かる…



「お、おはよう…」


―――…蓮見くんだ。



あたしは動揺が隠しきれず、噛んだ。



どうして…、声なんか掛けてくるんだろう…?


それは絶対、ないと思ってたのに……。




今にも飛び掛かりそうな程の、神崎くんの苛々さがあたしの所まで流れて来た。



「岩崎さん」

「は、はい!亜美って呼んでください!!」


ガクッ

亜美さん、ちゃっかりしすぎですって!!

この雰囲気よく言えるよ…。



「…じゃあ亜美ちゃん?」


「はいっっっ!!」


名前を呼ばれたことにより、亜美の目はハートになっていた。



「結城さん、ちょっと借りてもいいかな?」


「はいっ!!どーぞっ!!」