銀白虎






満月の夜は明るすぎて。


でもそれに似合わず、静かで、誰もいない。




だからもう少しだけ、


このまま、で。なんて






恐る恐る頬に添えた手を、ぎこちなく彼の背中に回して、ぎゅっと力をいれた。

消えてしまいそうな彼を、留めるように。





「…大丈夫だよ、」



見ているのは、お月様だけ。

あたしの気持ちを知ってるのも、お月様だけ。



なら。




(少しだけ素直に……、)




可愛い女の子―――亜美みたいに、なってみたい、と思ったんだ。





それもきっと、全部満月の夜のせい。