「…お前こそ」 意外にも、こっちを向いた瞳は、もう悲しげじゃなかった。普段と変わらない、興味無さげな目。 王子様じゃない、蓮見くんの顔だ…。 もうすっかり、こっちの方が見慣れてしまった。 「…のど、渇いちゃって。お水貰って良い?」 「…ああ。許可なんていらないから、好きに飲めばいい」 そのぶっきらぼうな言い方が、どうしてか、じんわりとあたしの心を温める。 「うん。…蓮見くんもいる?」 「じゃあ、頼む」 台所まで行って、コップを2つ取る。そして、水を注いだ。