「もうされたくなかったらさ、」 そこで一端区切ると、にやりとした意地の悪い笑みから、とても冷たい顔にすり替えた。 『このこと、誰にも言うんじゃねぇぞ?』 声すら、どこまでも冷たく、低い声だった。 誰をも拒絶する……そんな声。 学校の“王子様”と呼ばれる蓮見くんとは……まるで雰囲気が違う。 本当に、別人のようで…。 あたしは声も出なかった。 ただ、悔しくて…涙を耐えていることしかできなかった。