いつの間にか、手首の締め付けはなくなっていた。 そして、クラさんがあたしを動くよう促す。 だけどあたしの足は、縫い付けられたように固まって、一点だけを見つめていた。 「…………」 さっさと行け。 そう言われた、気がする。 だけど、どうしても足が動かない。 だって蓮見くんはどうするの? アキオと、やり合うの? ……首を横に振った。 無理だよ。 あたしだけ、逃げられない…。