ふむ。ちょっと考えてみた。
そういえば、
あたしは蓮見くんが転校してきてから
まだ一度も話をしていない。
女の子達はみんな、
すごい勢いで自分達から話し掛けに行っていたけど、
まだあたしは行っていない…。
別にわざわざ転校生君のところまで行って、話したいとは思わないからなのだけど…。
あたしはまだ転校生君を、
このクラスで誰よりも1番、知らないだろう。
それは別に困らないけど、
亜美にはどうやらつまらないらしい。
亜美はきっと、あたしも転校生君にお熱になり、一緒に騒ぎたいのだろう。
だけども、
あたしは亜美と違い、
カッコイイ=好き
ではないし、
実を言うとちょっぴり苦手だったりする。
完璧すぎるところが…。
触れてはいけないもののような気がする。
『結城はあんな奴なんか興味ねぇんだよ!な?』
神崎くんがそういってきて、
「あぁ…まぁうん、あんまりないかな…」
と答えると、亜美はぷくーと頬っぺたを膨らませつまらそうな顔をしていた。