―――王子様のキスは、ギリギリ口元に!本当にしちゃっても構わないよ!
…あーでもやっぱりしないでっ!!てかするならあたしに!!
―――あはは、木之本さんって面白いね。
でも困ったなぁ。どうしようかな。
―――えっ!!まさか本当にしてくれるのっ!?
ぜひ見てみたいわ〜!!
うっとりと、蓮見くんに熱い視線を送る…美術部部長兼裏演劇部の木之本さん。
きゃーー!!と熱い声が飛び交う。
……その中でなぜか、蓮見くんと一瞬、本当に一瞬、目が合った気がした。
にやり、彼は意地悪く…笑ったような気がした。
―――さあ、どうだろう。
でも、出来れば期待に答えたいと思いますよ。
にっこりと、確信犯。
バタバタと鼻血を出しながら、倒れていった女子達。
今度こそ、目が……確実に合った。
あたしは逸らすことも、何かいうことも出来なかった。
ただ…。
偉そうに上がった口角を見た瞬間、無性に悔しくなった――…。

