「…それじゃ練習する意味ないじゃん」


あたしは、苦笑いしながらそう言った。



「そぉだけど〜…」


亜美ははぁ、とまたため息。


この子は幸せが、今日一日で何度逃げてしまったのだろうか。



まぁ、そんなわけないけども。





―――“白虎”


多分、普通の家ではないはず。


いや、絶対……。





「岩崎さん」


綺麗な、声が響く。



「蓮見くんっ!」


「もう練習始めるって。行こう?」


うん!と、さっきのため息をついていた姿は嘘のよう。