『そういえば…まだ結城のメアド聞いてなかったよな…?』



急に言われたので驚いたが、

「あ…うん……」

と小さな声で呟く。



そしたらまたさっきの仔犬のような笑顔で笑って…


『じゃあ教えてっ!』


って言われ、

……赤外線で交換した。



『じゃ!俺、便所行ってくるわっ!』


そういって女の子達が群がる廊下へと瞬く前に消えて行った。




それは…言わなくてもいいと思うよ、神崎くん…。


もうここには居ない神崎くんに、心の中で喋りかけた。



だけど、そんな自然体な所が神崎くんらしい気がして、

笑いが少し込み上げて来た。




『ふふふ〜!なあーに笑ってんのよッ!』


笑っていたら背中をバンッとやられて、思わず前にのけ反った。




「亜美ぃ〜!!」


後ろを振り返って、背中を叩いた犯人を叱る。



『ちょっと強かった?ごめんごめんっ!』


とてもごめんとは思っていないような笑顔で言われ、更にその笑顔はニヤつく。



『それより!良い感じだったじゃーん!!神崎とっ!』