口説いてんの?


薫子は、キッチンへ行ってお粥を作り

何か食べないと薬も飲めないので

落ち着いたら食べて、と伝えた。

時計に目をやると

仕事に行く時間になっていたので

立ち上がり、独り言のように呟いた。

「なんで、熱があるのに昨日来たのよ?

 ゆっくりやすんで」

ドアを開けて部屋を出ようとした時

俊也が搾り出した声で言った。

「薫子は、背の高い男が好きなんだよな?」

「何?」

「いや、なんでもない。サンキューなっ」

「変なの。帰りに、また来るから」

「いい、親父達が帰って来るから」

「うん、分かった。じゃあね」

薫子は、静かにドアを閉めた。

結局、昨日来てくれた意味も分からないし

背が高い男が好きなんだろ?って

質問の意図もまったく分からなかった。