恵理子さんが帰るとみんなホッと息を吐き

タバコに火を点けた。

「私も吸う」

薫子がタバコを取り出すと、俊也が言った。

「麻雀以外でタバコ吸わないのになぁ」

「凪斗のせいだぁ!」

薫子は凪斗に、フー!と煙を吐きかけた。

「すいません・・・

 でも、ありがとうございました。

 俺のこと心配してもらって・・・」

「薫さんが凪斗って呼んだの

 初めてじゃないですかぁ?

 いつも宇佐見君だったのに~」

真太郎が薫子の顔を覗き込んだ。

「いいじゃん、宇佐見君って長いし

 言い辛かったの!」

「良いですよ、凪斗で。

 みんなもそう呼んでるし

 薫さんに宇佐見君て呼ばれるのも

 距離がある感じがして嫌だったから

 俺は嬉しいです」

凪斗が薫子を見つめた。