口説いてんの?


「宇佐見君がなんて言ったんですか?」

「彼がバイトを始めた頃

 旦那が髪を切っても気付いてもくれないの

 って愚痴を零すと

 こんなに綺麗な奥さんなのに、って

 結婚してても、子供を産んでも

 綺麗って言葉は

 魔法みたいで嬉しいでしょ?

 女として見られなくなる事が

 一番悲しいでしょ?

 だから舞いあがちゃって・・・」

その気持ちは分からなくはない。

薫子は女として見られないのは

慣れているけど、やはり傷付く。

何歳になっても女であり続けたいと

願うのは当然だろう。

「すいませんでした」

「ううん。

 凪斗君にはお礼を言いたいくらいよ。

 少しでも良い夢を見させてもらって

 こんなおばさんでもメールしてくれて。

 だから、凪斗君は悪くないのよ」