その様子に恵理子さんは歓喜の声を出し

凪斗にキスをした。

みんなは口も利けず呆然としていた。

口火を切ったのは、恵理子さんと

プライベートでも仲良くしている

主婦の亜紀さんだ。

「恵理子ー!」

亜紀さんが恵理子さんの腕を引っ張り

叱りつけた。

「ごめんなさい、ふざけ過ぎちゃった」

その時イントロが流れ出し

俊也がマイクを握った。

「凪斗、気分はどうだ?」

凪斗は、名前を呼ばれて我に返り

俊也のジョッキを取って一気に飲み干し

立ち上がって叫んだ。

「最高でーす!」

「最高かー?!良かったなぁ?アハハ!」

俊也と凪斗は肩を組み、大声で歌いだした。

しょんぼりしていた恵理子さんは

凪斗の叫びに苦笑していた。

だけど、留美の表情は暗くなっていた。