老舗のパン屋はオシャレ感はまったくなく

朝早くから50代の夫婦と

勤続20年の女性二人が準備をしていた。

駅の構内にあるので繁盛していて

学校帰りに便利なのでバイトの人は

すぐに見付かるけど

みんなあまり続かない。

やはりアクセサリーショップや

雑貨店などに憧れてしまうのだろう。

人の良い夫婦は、歓迎会を開いても

一週間で辞めてしまう若者には

迷惑になると考えてしまった。

そんな中、高校3年の時からバイトを始め

短大を卒業してから、社員になってくれた

薫子をことの他可愛がっていた。

昼からは、息子と薫子が店を回していた。

別にパン屋になりたい訳じゃなくて

夫婦によくしてもらってるのと

息子の俊也と趣味が合い

最高の遊び友達だからだった。

他にパート・アルバイトが7人いて

交代で勤務している。

「ホテル食パン焼きあがりました~!」

店外に出て、元気よく声を出しているのは

薫子だった。